2022.03.17
コロナウイルス感染症によりデジタル技術を活用した非接触型サービスの利用が拡大する中、 デジタル技術を使いこなせる方々とそうでない方々のデジタルデバイドの解消が課題となっています。
デジタルデバイドとは 総務省の平成16年版「情報通信白書」では 「インターネットやパソコン等の情報技術を利用できる者と利用できない者との間に生じる格差」と定義されています。
デジタルデバイドの中でも「個人間・集団間デジタルデバイド」に着目すると、 高齢者は他の世代と比べてデジタル技術の活用率が低い傾向にあると言えます。例えば、総務省の令和3年版「情報通信白書」 に掲載されている「図表1-1-1-8 SNS 利用に関する情報リテラシー(年齢 別)スマートフォンやタブレットの利用状況」によると 70歳以上の半数以上が利用していないと回答しており、他世代と比べて高齢者の情報通信機器の利用率が低いことが分かります。
また、総務省の令和3年版「情報通信白書」に掲載されている「図表1-1-1-8 SNS 利用に関する情報リテラシー(年齢別) 」から高齢者の情報リテラシー能力を確認してみます。ここでは 「情報の発信者を特定でき、その信頼性を判断することができる」かどうかなど、 SNS の利用等に関する5つの具体的 なケースから情報リテラシー能力が測られており、60歳以上の約半数はこの情報リテラシー能力が低く、 安全なインターネット上でのコミュニケーションが難しいレベルにあると位置付けられています。このことからデバイス利用率だけでなく、 デバイスを活用したコミュニケーション能力においても高齢者が他の世代に遅れをとっている現状が分かります。
このように高齢者にデジタルデバイドが存在する現状に対し、 総務省はデジタル活用支援推進事業を行うなどして対策を行なっています。 例えば、福島県会津若松市では総務省の補助を得て実証実験的にデジタル活用支援員を育成し、 高齢者に対して講座を開催することでデジタル機器の利用率や情報リテラシー能力の向上を図る取り組みを行ってきました。
デジタルデバイドが解消することにより、高齢者がオンラインサービスを活用できるようになり、 行政が郵送や電話といった複数の方法を併用しなくても行政サービスを実施することができるようになります。 行政サービスが効率化されることは自治体の財源の有効活用につながります。ただ、最も重要なことは高齢者が他の世代と 同様のツールを使うことでコミュニケーションの幅がひろがり、生活の質が高まることではないでしょうか? デジタル活用支援推進事業の実証実験は特定の11の地域に限定して行われましたが、令和3年度以降は全国的に補助事業 として実施されています。広範囲の地域で支援を届けることで誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を実現することが できるでしょう。
白書・審議会名 総務省「情報通信白書」
掲載年度 2021年
掲載図表のURL
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/pdf/n1100000.pdf
出典元 / 統計名 内閣府(2020)「情報通信機器の利活用に関する世論調査」を基に総務省作成 / 記載なし
図表データ対象年 2020年
アクセス日 2021年2月7日
白書・審議会名 総務省「情報通信白書」
掲載年度 2022年
掲載図表のURL
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/pdf/n1100000.pdf
出典元 / 統計名 総務省(2021)「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と 利用者意識の変化に関する調査研究」 / 記載なし
図表データ対象年 2021年
アクセス日 2021年2月7日
会津若松市「オプトインによる共助型分散社会の実現」(2020年10月) (https://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2020102000010/files/supercity_teiansyo.pdf, 最終閲覧日2022年3月4日)
総務省「平成 23 年版 情報通信白書」 (https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h23/pdf/n2020000.pdf, 最終閲覧日2022年2月15日)
総務省「高齢者のデジタルデバイドの解消のための総務省の取組」 (http://www.zenso.or.jp/wp-content/uploads/高齢者のデジタルデバイドの解消のための総務省の取組み.pdf, 最終閲覧日2022年2月15日)
デジタル活用支援ポータルサイト「令和2年度 デジタル活用支援員推進事業 成果発表会(タイムテーブル・協議会資料)」 (https://www.soumu.go.jp/main_content/000733375.pdf, 最終閲覧日2022年2月15日)